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AEDの適正配置に関するガイドライン(転載)

現状ではAED設置に関して法制化がされていない状況ですが、厚生労働省のホームページに掲載されている「AEDの適正配置に関するガイドライン補訂版(平成30年12月25日版)」が設置の大きな基準となっています。各都道府県で行われているAEDの行政監査においても、本基準が使用されております。ここでは、このガイドラインに一部解説を加えできるだけ分かりやすくしましたのでご参考にしてください。長文になりますので、大事な部分に関してはアンダーラインを引いております。

以下に原文とその解説を記載します。

AED適正配置に関するガイドライン一般財団法人日本救急医療財団 平成30年12月25日)

補訂にあたって

平成25 年に本ガイドラインが公表されて、5 年が経過した。本ガイドラインは、AED の設置場所や配置に関して、具体的で根拠ある指標を示すために、作成されたものであるが、この5 年間でこうした指標の背景となる根拠やAED をとりまく状況は変化している。また、AED そのものの機能の充実や改良も進んでいる。わが国では国をあげての大規模なスポーツイベントを控えていることもあり本ガイドラインをとりまく最新動向にもとづき必要な補訂を行った。

本ガイドラインの趣旨

突然の心停止事例においては通報を受けて救急隊が持参するAED(自動体外式除細動器)に比較して、公共のスペース等にあらかじめ設置しておいたAED が、救命や社会復帰の点ですぐれた効果を発揮することが知られている。一方、AED の設置場所や配置に関して、具体的で根拠のある基準は示されていなかった。そこで本ガイドラインは一般人が使用することを目的としたAED の設置場所を提示し、AEDの効率的で円滑な利用を促し、心停止の救命を促進することを目的とした。

本ガイドラインを参考にすることで、一般人が使用することを目的としたAED の導入を検討している。或いは既に設置済みの地方公共団体や民間機関等の効果的かつ効率的な設置・配置に寄与できれば幸いである。

1.はじめに

1990 年代より欧米では自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED)が普及したが、わが国では航空機への設置等をきっかけに平成16(2004)年7 月に非医療従事者によるAEDの使用がはじめて認可された。しかし以来、駅や空港、学校、官公庁などの公共施設への設置が進み人口当たりのAED 設置台数は他国と比較して引けをとらない水準に達した。病院外心停止の記録集計と分析もわが国で進んでいるが、こうしたAED により数多くの人々が救命され、社会復帰を果たしていることが、客観的に示されている。しかし、一般人により目撃された突然の心停止のうち、AED を用いて電気ショックが実施されたケースは、すべての心停止の中でまだまだ少ないのが現状である。PAD(public access defibrillation)プログラムとは、居合わせた人により、AED が適切に活用されるように計画・管理することであるが、現状は、PAD プログラムの推進という点では決して十分とはいえない。

心停止に対して一般人によるAED 使用例が少ない理由は、現場付近にAED は存在したもののAEDの使用に至らなかったといった場合とAED が未設置であったという2 つに大別される。後者については、AED の絶対数不足、心停止の発生場所と設置場所のミスマッチ、地域AED 配置基準に一貫性がないこと、設置場所が市民に周知されていないこと、設置に関する政策の関与や計画的な配置がなされていないことなどが考えられる。

これまでAED の普及は、まずその設置数を増やすことに重点が置かれてきたが、今後はより効果的かつ戦略的なAED 配備と管理を進めていく必要がある。また、設置場所の周知についても推進する必要がある。このような趣旨から日本救急医療財団では、平成22(2010)年から「非医療従事者によるAED 使用のあり方特別委員会」を設置し、AED の設置基準に関する作業部会、AED の教育普及に関する作業部会及びAED のデータ利用・検証に関する作業部会により、AED の効果的な運用方法を検討してきた。さらにその一環として、平成19(2007)年にAED 設置場所検索システム、平成27(2015)年からは財団全国AED マップをインターネット上で公開してAED の設置情報を周知してきた。本ガイドラインは同特別委員会のAED の設置基準に関する作業部会における検討結果を踏まえて、具体的な設置・管理基準をまとめたものである。その内容は、平成20(2012)年の日本循環器学会AED検討委員会および心臓学会の「AED の戦略的配置に向けて」の提言がベースになっている。今回の補訂版は、その後の知見の蓄積や状況の変化を加えてアップデータしたものである。

2.AED 設置が求められる施設

(1)AED の設置に当たって考慮すべきこと

心停止は、発生場所によってその頻度も救命率も大きく異なる。心停止の7 割以上が住宅で発生するが、目撃される割合、電気ショックの対象となる心室細動の検出頻度は公共場所のほうが高く、電気ショックの適応となり、救命される可能性も高い。そのため、公共場所を中心としたAED 設置が推奨されてきた。

AED を効果的・効率的に活用するためには、人口密度が高い、心臓病を持つ高齢者が多い、運動やストレスなどに伴い一時的に心臓発作の危険が高いなど心停止の発生頻度に直接関わる要因だけでなく、目撃されやすいこと、救助を得られやすい環境であることも考慮する必要がある。

また、居合わせた人に救助をゆだねるという性格上、一定の救命率が期待される状況下での普及を推し進めるという考え方も必要である。その一方で、学校のように、たとえ心停止の頻度は低くても設置が求められる場所もある。さらに旅客機や離島など、救急隊の到着に時間がかかる場所や、医療過疎地域等で迅速な救命処置が得られにくい状況に対しても、住民のヘルスサービスの一環として不公平が生じないようAED 設置に配慮すべきである。

(解説)日本では毎年約7万人の方が心臓突然死で亡くなっています。そのうち、約70%の約5万人が住宅内で発生し亡くなっています。また、7万人のうち周りに誰かがいる状況で亡くなった方は、約2.5万人です。この2.5万人に関しては、救えるチャンスがあったことになります。胸骨圧迫や5分以内でのAEDの使用で社会復帰率は大きく上昇します。

AED の効果的・効率的設置に当たって考慮すべきこと

1.心停止(中でも電気ショックの適応である心室細動)の発生頻度が高い(人が多い、ハイリスクな人が多い)

(解説)心室細動とは、正常なリズムを失い主なポンプ機能を行っている心臓の下側(心室)が無秩序にけいれんし心臓のポンプ機能を無くしている状態です。心臓の上側(心房)が同じようにけいれんしてもポンプ機能は失うことは無いので、除細動の適応とはならないです。

2.心停止のリスクがあるイベントが行われる(心臓震盪のリスクがある球場、マラソンなどリスクの高いスポ―ツが行われる競技場など)

(解説)心臓震盪(しんとう)とは正常に動いている状態であるタイミングで外部より心臓に強い衝撃が加わることのより一気にけいれん(細動)状態になることを言います。この心臓震盪は比較的胸郭の柔らかい子供でよく成りやすいと言われております。野球やサッカーなど小さな子どものスポーツでは特に注意しておく必要があります。よく脳震盪を耳にされると思いますが、脳震盪の場合にはタイミングに関係なく大きな衝撃が脳に加わった際になります。

3.救助の手がある/心停止を目撃される可能性が高い(人が多い 、視界がよい)

4.救急隊到着までに時間を要する(旅客機、遠隔地、島しょ部、山間等)

(2)AED の設置に当たって目安となる心停止の発生頻度

AED の設置に際して考慮すべき第一の条件として、心停止の発生頻度が高いところにAED を設置するべきである。PAD の効果を証明した大規模な地域介入試験では、心停止が2 年に1 件以上目撃されている施設や、50 歳以上の成人250 人以上が1 日16 時間以上常在している施設に対し、AEDの設置を進め、救命率向上を証明した。この結果を踏まえ、2005 年のヨーロッパのガイドラインでは、心停止が発生する可能性が高い場所としての空港、スポーツ施設など、少なくとも2 年に1 件院外心停止が発生する可能性がある施設をAED 設置に適している場所として推奨した。しかし、その後、5 年に1 件以上の心停止が発生する場所を推奨するように変更された。アメリカでも、AED 設置が奨められる公共場所として、5 年に1 件以上の心停止が発生する場所を推奨している。このようなAED の設置によって公共の場の約2/3 の心停止をカバーできるとされている。

【AED の設置が推奨される施設(例)】

① 駅・空港・長距離バスターミナル・高速道路サービスエリア・道の駅わが国では、公共の場所のうち、特に多数の人が集まる駅での心停止発生、並びにAED の使用例が多いとの報告がある。都市部において鉄道は主たる移動手段で年齢を問わず多くの人が集まる場所であり、一日の平均乗降数が10,000 人以上の駅ではAED 設置が望ましい。また、混雑する人混みの中で救命処置を円滑に行うためにも職員らによる周到な準備・訓練が不可欠である。

空港でのAED の必要性は①駅での理由に加え、長旅や疲労などによるストレスが高まる環境にさらされ心臓発作を起こしやすいと報告されている。欧米でも空港におけるAED の有効性は示されており、空港でもAED の積極的な設置が求められる。

② 旅客機、長距離列車・長距離旅客船等の長距離輸送機関

旅客機内は、長旅や疲労などによる心臓発作のリスクに加え、孤立して救急隊の助けが得られにくい特殊性からもAED の必要性が高い。旅客機内ではAED 使用例が一定頻度で発生しており、その有効性も実証されていることから、旅客機内にはAED を設置することが望ましい。同様に、新幹線・特急列車、旅客船・フェリーなどの長距離乗客便にはAED を設置することが望ましい。

③ スポーツジムおよびスポーツ関連施設

スポーツ中の突然死は、若い健常人に発生することも少なくない。また、心停止を目撃される可能性も高い。運動強度の高いサッカー、水泳、マラソンなどのスポーツでは心室細動の発生が多い。また、野球やサッカー、ラグビーなどの球技、あるいは空手などの格闘技では心臓震盪の発生が比較的多いことが報告されている。スポーツジムおよび管理事務所を伴うグラウンド、球場等、これらのスポーツを実施する施設にはAED を設置することが望ましい。

ゴルフは他のスポーツに比べ競技者の年齢が高く、ゴルフコース1 施設あたりの心停止発生率は、0.1/1 年と高い。また、ゴルフ場は郊外にあることが多く、救急車到着までに時間を要すると考えられることからも5分以内の電気ショックが可能となるようにコース内に複数のAED を設置することが望ましい

④ デパート・スーパーマーケット・飲食店などを含む大規模な商業施設

わが国では従来からあるデパート、スーパーマーケット、飲食店に加えて、郊外型の大規模複合型商業施設が一般化した。さらに、日用品から一般医薬品まで販売するドラッグストアについても規模が大きな店舗が増加している。一日5,000 人以上の利用者数のある施設、(常時、成人が250 名以上いる規模を目安とする)には複数のAED を計画的に配置することが望ましい。

⑤ 多数集客施設

アミューズメントパーク、動物園、(監視員のいる)海水浴場、スキー場、大規模入浴施設などの大型集客娯楽施設、観光施設、葬祭場などには複数のAED を設置することが望ましい。

⑥ 市役所、公民館、市民会館等の比較的規模の大きな公共施設

規模の大きな公共施設は、心停止の発生頻度も一定数ある上に、市民への啓発、AED 設置・管理の規範となるという点からもAED の配置と保守管理に配慮することが望ましい。

⑦ 交番、消防署等の人口密集地域にある公共施設

人口密集地域にある公共施設は、地域の住民の命を守るという視点から、施設の規模の大小、利用者数に関わらず、AED を設置することが望ましい。

⑧ 高齢者のための介護・福祉施設

50 人以上の高齢者施設では、一定以上の頻度で心停止が発生しており、AED の設置が望ましい。

⑨ 学校(幼稚園、小学校 、中学校、高等学校、大学、専門学校等)

学校における心停止は、児童・生徒等に限らず、教職員、地域住民などの成人も含め一定頻度発生している。わが国で、学校管理下の児童・生徒等の突然死のおよそ3 割は心臓突然死で、年間30~40 件の心臓突然死が発生していると報告されており、学校はAED の設置が求められる施設の一つである。日本のほとんどの学校には、少なくとも1 台のAED は設置されているが、心停止発生から5 分以内の電気ショックを可能とするためには規模の大きな学校では、複数のAED を設置する必要がある。調査によれば、学校内の設置場所は多様である。しかし、学校における突然の心停止の多くは、体育の授業やクラブ活動で、ランニングや、水泳など、運動負荷中に発生しており、運動場やプール、体育館のそばなど、発生のリスクの高い場所からのアクセスを考慮する必要がある。さらに、施設が生徒や住民に開放されている土日祝日や夜間でも、こうした運動場、体育館や学童保育で使用できるように配慮することが望ましい。

⑩ 会社、工場、作業場

多くの社員を抱える会社、工場、作業場などはAED 設置を考慮すべき施設である。例えば、50 歳以上の杜員が250 人以上働く場所・施設にはAED を設置することが望ましい。

⑪ 遊興施設

競馬場や競艇場、パチンコ店などの遊興施設では極めて人口の密集した環境下で、交感神経機能が高まることから心停止発生のリスクが高い。さらに、目撃される可能性も高いことからAED の設置が望ましい。

(解説)パチンコ店内は非常に騒音が激しい環境にあるので、音声ガイドのみではAEDが使用しずらいと思います。AEDの機種によっては、音声ガイドに加えて液晶画面でイラストと文字で案内する機種もありますので、ご検討が必要かもしれません。

⑫ 大規模なホテル・コンベンションセンター

ホテルやコンベンションセンターは、多人数が集まるうえに、滞在時間も長いため、AED の設置が望ましい。

⑬ その他

⑬-1 一次救命処置の効果的実施が求められるサービス

民間救急車などのサービスの性質上、AED を用いた一次救命処置の実践が求められる施設は、AED の設置および訓練が求められる。

⑬-2 島しょ部および山間部などの遠隔地・過疎地、山岳地域などでは、救急隊や医療の提供までに時間を要するため、AED の設置が求められる。

【AED の設置が考慮される施設(例)】

① 地域のランドマークとなる施設

地域の多人数を網羅している、救急サービスの提供に時間を要するなどの地域の実情に応じ、郵便局、銀行、24 時間営業しているコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ドラッグストアなど救助者にとって目印となり利用しやすい施設へのAED の設置は考慮して良い。近年、地方公共団体によるコンビニエンスストアへのAED の設置が広がりつつあり、社会復帰例も報告されている。コンビニエンスストアへの、地方公共団体によるAED の設置は、地域のPAD プログラムの推進という点でも、危機管理も念頭においた各店舗と行政との連携という点でも推奨される。

② 保育所・認定こども園

幼児のみならず、1 歳未満の乳児に対してもAED を使用できる。規模の大きな乳幼児施設ではAED の設置が進んでいる。規模の小さな保育所でAED を保有することが難しい場合は、同じビルの中や近隣のAED をすみやかに使用できるようにしておくことが望ましい。また地方公共団体等の設置補助制度が充実することが望まれる。また、学童保育に対する配慮も必要である。使用の際は、未就学児に対しては小児用モード、小児キーあるいは小児用パッドを用いることが望ましいが、すぐに対応できない場合は、成人用のAED を使うことをためらわない。

(解説)最近のAEDは簡単に小児と成人の切り替えができるようになっています。これらの施設でAEDの設置を新規でされる場合には、この機能は外せないと思います。

③ 集合住宅

自宅での心停止は、同居者が不在か、居ても睡眠中や入浴中などでは目撃されないことが多く、またその同居者がしばしば高齢で、迅速で適切な救助が得られないなどの理由からAED 設置の有効性は未定である。しかし、我が国では突然心停止の発生は70%近くが自宅・住居であり、集合住宅が多いため、集合住宅等の人口が密集した環境ではAED 設置の効果が期待される。心停止リスクのある人が、自らの家庭にAED を設置するプログラムで救命された例も報告されているが、現状ではリスクの高い人には植込型除細動器、着用型自動除細動器などの対策もある。周囲で救助を行うものがいることが期待される状況下であれば、自宅等にAED の準備をすることを考慮してもよい。

(解説)特に多くの戸数が入居しているマンションなどでは、比較的1戸あたりの費用負担が少ないので積極的な導入を検討されたほうが良いと思います。

3.AED の施設内での配置方法

我が国のAED 普及の実態と効果を検証した調査では、公共のスペースに設置されたAED による電気ショックは心停止から平均3 分以内に行われており、40%近い社会復帰率を示した。あわせて、電気ショックが1 分遅れると社会復帰率が9%減少すること、AED を1000m 四方に1 台から500m 四方に1 台、すなわち設置密度を4 倍にすると、社会復帰率も4 倍になることが示された。愛知万博では300m 毎に100 台のAED が設置され、会場内で発生した心停止5 例中4 例で救命に成功した。コペンハーゲンの調査では、住宅地域では100m 間隔でAED を設置することが推奨されるべきであるとしている。さらに、わが国の別の研究では、一般人が心停止を目撃してから、119 番通報(心停止を認識し行動する)までに2,3 分を要することが示されている。居合わせた人にその処置をゆだねるという性質上、ある程度高い救命率が期待できる状況で、AEDの使用を促す必要があり、以下のように電気ショックまでの時間を短縮するような配置上の工夫が望まれる。

(1)目撃された心停止の大半に対し、心停止発生から長くても5 分以内にAED の装着ができる体制が望まれる。そのためには、施設内のAED はアクセスしやすい場所に配置されていることが望ましい。たとえば学校では運動に関連した心停止が多いことから、保健室より運動施設への配置を優先すべきである。

(2)AED の配置場所が容易に把握できるように施設の見やすい場所に配置し、位置を示す掲示、あるいは位置案内のサインボードなどを適切に掲示することが求められる。

(3)AED を設置した施設の全職員が、その施設内におけるAED の正確な設置場所を把握していることが求められる。

(4)可能な限り24 時間、誰もが使用できることが望ましい。使用に制限がある場合は、AED の使用可能状況について情報提供することが望ましい。地方公共団体による行政監査で、AED 収納ボックスが施錠されていたケースなどが指摘されている。

(5)インジケ―タが見えやすく日常点検がしやすい場所への配置、温度(夏場の高温や冬場の低温)や風雨による影響などを考慮し、壊れにくい環境に配置することも重要である。

(解説)AEDにはスタンバイ温度がメーカーにより決められております。この範囲内になるような設置が大前提です。冬場など氷点下になるような地域の方は特に注意が必要となります。また、今後屋外設置も進むと思われますが、そうなると尚更この環境温度への配慮は必要となってきます。

施設内でのAED の配置に当たって考慮すべきこと

1.心停止から5 分以内に電気ショックが可能な配置

現場から片道1 分以内の密度で配置

‒ 高層ビルなどではエレベーターや階段等の近くへの配置

‒ 広い工場などでは、AED 配置場所への通報によって、AED 管理者が現場に直行する体制、自

転車やバイク等の移動手段を活用した時間短縮を考慮

2.分かりやすい場所(入口付近、普段から目に入る場所、多くの人が通る場所、目立つ看板)

3.誰もがアクセスできる(カギをかけない、あるいはガードマン等、常に使用できる人がいる)

4.心停止のリスクがある場所(運動場や体育館等)の近くへの配置

5.AED 配置場所の周知(施設案内図へのAED 配置図の表示、エレベーター内パネルにAED 配置フロア

の明示等)

6.壊れにくく管理しやすい環境への配置

4.AED の管理と配置情報の公開

AED を有効に機能させるために、以下が求められる

(1)AED 設置施設ではAED 管理担当者や担当者が設定し、機器の定期的な保守管理を行うこと。

(2)AED の活用が円滑におこなわれるように、設置目的や、担当者の責務を明確にするとともに、いざという時の対応に関しても、取り決めをしておくこと。

(3)地方公共団体は、管轄地域のAED 設置情報を把握し、適正配置に努めることが望ましい。また、地域のAED 設置情報を積極的に日本救急医療財団や地方公共団体が運営するAED マップに登録し、住民に情報提供することが望ましい(誰もがAED 設置情報にアクセス可能で再利用可能な形で住民に情報提供を行うことも考慮する。)。

AED 設置情報を把握していないもしくはマップを作成していない地方公共団体では、財団全国AED マップにリンクを張ることで、県庁、市役所等を中心とした自地域のAED マップとして地域住民に情報を提供することが望ましい。また自地域のAED マップを作成している場合においては、日本救急医療財団に登録されたAED 設置情報のうち地方公共団体への情報提供の承諾をAED設置者から得ているものについて、財団より情報提供を受け、AED マップの更なる充実を図ることも考慮する。

(4)AED 設置施設は、地方公共団体の求めに応じ、AED 設置情報を積極的に登録・公開し、AED 保有情報(AED Inventory)を公開することが望ましい。

(5)多くの地方公共団体や大学では、スポーツイベントをはじめとするさまざまなイベントに対して、AED を貸し出す制度を整備しているが、地方公共団体や教育機関ではこうした貸出システムをさらに考慮する。

(解説)AEDは高度管理医療機器となりますので、貸し出しとしての業を行う際には、高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可を取得して行う必要があります。これに違反した場合には、薬機法違反となりますのでご注意ください。

(6)AED が使用された場合、地域の救急医療体制の検証の一環として、当該地域のメディカルコントロール協議会が中心となり、使用時の心電図データ等を検証すること。AED 設置施設は、メディカルコントロール協議会などの求めに応じて、これらの情報を消防機関や医療機関へ提供することが望ましい。

(解説)AEDには多くの機種で電源を入れるとその時の心電図やイベントが自動で残る様になっております。消防機関等の要請により、販売店やメーカーの方でデータの取り出し作業ができます。事後の検証の際に、時刻情報は重要になりますので、AEDの内部時計はデータを取り出した際には重要な意味をなします。

5.その他AED の設置・配備が求められる状況

上述のような施設にAED を設置する以外に、地域の適性に応じて、パトカーや消防自動車にAEDを搭載するなど、1 台のAED を有効に活用し、広範囲を網羅することも推奨される。

また、以下のように、突然の心停止のリスクが想定される環境では、AED の配備が求められる。

① 大規模なマラソン大会

身体活動や運動に伴う突然死の発生頻度は1 日の中でより長い時間を過ごす安静時と比べれば低いと言われているが、強度の高い運動を行った場合は、一時的に心臓突然死のリスクが増加することが指摘されている。運動種目別にみると、マラソンは心臓突然死が起こりやすい種目として報告されている。本ガイドラインの初版では、マラソン大会中の心停止のリスクは、0.5 件/10万参加者という報告をとりあげた。しかし、その後、東京マラソンでは1.53 件/10 万人参加者のリスクであったことが報告されている。このように大規模な市民参加型のマラソンがさかんに開催されるようになったが、数多くの心停止が報告されており、参加者のすそ野が広がったことにより、従来の競技者中心のマラソンより心停止発生のリスクが高まっていると考えられる。実際、マラソン大会中に参加中の競技者が突然の心停止になり、AED が導入されていたため、心拍が再開し生存者の数が増えてきていることが報告されている。これらの競技を行う際には、競技場だけでなく、コース全体を通じてAED が使える体制を整えておく必要がある。参加者が5,000人を超えるような大規模なマラソン大会では、定点配置のみならず、併走車や自転車隊などを利用したモバイルAED 体制も有用である。東京マラソンでは目撃された心停止の9 割近くが、死戦期呼吸を呈しており電気ショックの適応であった。死戦期呼吸を、呼吸が維持されているものと誤って判断しがちであることも伝えられており、死戦期呼吸の傷病者に対してAED の装着が遅れないようにすべきである。

(解説)日本循環器学会で作成配布されている「スポーツ現場における心臓突然死ゼロに」の資料が非常に分かりやすいのでご参考にしてください。また、死戦期呼吸(あえぎ呼吸)は心室細動の時に起こる間欠的にしゃくりあげるような動きです。この動きを呼吸ありとして、AEDを使用しなかったケースがあります。今では、普段通りの呼吸をしているかどうかの見極めをするように講習会では教えられています。普段通りの呼吸ありか無しか、もしくは分からないでしたら一気に簡単な判断となります。意識なし+普段通りの呼吸無しもしくは分からないで胸骨圧迫とAEDの使用となります。

② 心臓震盪

ボールや人間同士がぶつかる野球、空手、サッカ一、ラグビーなどの競技では、心臓震盪による突然死が、若年者の運動中の突然死のうち20%を占めることが指摘されており、一次予防として胸部プロテクターの使用が義務づけられている競技もある。少年スポーツはAED が常設されていない小規模な施設、球場などで開催される場合も多く、これら心臓震盪のリスクを伴う競技を行う団体は、AED を携帯するなどの準備をしておく必要がある。

(解説)心臓震盪(しんとう)とは正常に動いている状態で有るタイミングで外部より心臓に強い衝撃が加わることのより一気にけいれん(細動)状態になること。この心臓震盪は比較的胸郭の柔らかい子供でよく成りやすいと言われております。野球やサッカーなど小さな子どものスポーツでは特に注意しておく必要があります。よく脳震盪を耳にされると思いますが、脳震盪の場合にはタイミングに関係なく大きな衝撃が脳に加わった際になります。

③ 突然死のハイリスク者

突然死のリスクが高いものに対しては、植え込み型除細動器(ICD)の植え込みが第一選択となる。しかし、患者の状態、意向、年齢など何らかの理由で、突然死のリスクが高いにもかかわらず、ICD の植え込みが行われない場合も少なくない。若年者の肥大型心筋症、QT 延長症候群、運動誘発性多形性心室頻拍などハイリスク者がいる場合、周囲で救助を行うものがいることが期待される状況下であれば、自宅等にAED の準備をすることを考慮してもよい。

(解説)医師の指示によりAEDを設置する際には、医療費控除を受けられることが多いです。税務署の判断によりますので、事前に相談をされることをお勧めします。神奈川県大和市のように自宅設置での補助金制度などがある自治体もあります。

6.AED 使用の教育・訓練の重要性

AED の設置を進めるだけでは、必ずしも十分な救命率の改善を望めない。設置されたAED を維持管理し、いつでも使えるようにしておくことが必要である。次に、設置施設の関係者や住民等が容易にAED を見つけ出せるようにする。そして、教育と訓練によりAED を使用できる人材を増やすことも忘れてはならない。心肺蘇生法講習会を受けることで市民の救命意識は向上し、心肺蘇生の実施割合が増加することが報告されている。心肺蘇生法の普及、実施割合が不十分な現状、AED があったにもかかわらず、使用されない事例の報告が知られている。AED を有効に活用し、心停止例の救命率を向上させるために、従来以上に心肺蘇生法講習会を積極的に展開し、一般人の心肺蘇生法に対する理解を深め、AED を用いた心肺蘇生法を行うことができる人材を増やす必要がある。胸骨圧迫とAED の操作にポイントを絞り、短時間で学ぶことのできる入門講習も積極的に活用し、少なくとも胸骨圧迫とAED の操作が実践可能な人々を増加させ、設置が広がりつつあるAED を有効に活用することのできる社会を築き上げる必要がある。教育と訓練に当たっては、AED 設置施設の関係者とそれ以外の一般人に分けて対策を進めることが有効かつ効率的と思われる。

(解説)AEDを設置した際に最寄りの消防署に教育訓練の依頼を無料でできるケースがあります。10人程度の人数が集まるようでしたら、このサービスは大きなメリットがあると思います。また、受講修了者には修了証も発行していただけると思います。

(1)AED 設置施設関係者に対する教育と訓練

AED 設置施設関係者は、より高い頻度でAED を用いた救命処置を必要とする現場に遭遇する可能性があるため、日ごろから施設内の最寄りのAED 設置場所を把握しておくとともに、AED を含む心肺蘇生の訓練を定期的に受けておくこと必要がある。合わせて、突然の心停止が発生した際の傷病者への対応を想定した訓練を行うことが望まれる。しかし、質の高い救命処置を行うためにAEDを用いた救命処置訓練が行われることが望ましいと考える。そのためには教室での講習だけでなく、自施設内で救命訓練を行うことも重要である。自施設内の様々な場所で心停止が発生した場合を想定し、誰がどのように動き、119 番通報、AED 運搬などにあたるかをシミュレーション体験してみることも有用である。

(2)それ以外の一般人に対する教育と訓練

AED 設置施設関係者以外でも、心停止の現場に遭遇する可能性があるため、できるだけ多くの一般人がAED の使用法を含む心肺蘇生法を習得していく必要がある。これまで、多大な労力とコストを要することが心肺蘇生法普及の障害の一つとなってきたが、近年、良質な胸骨圧迫とAEDによる早期の電気ショックの重要性が強調されるとともに、胸骨圧迫のみの心肺蘇生とAED の組み合わせの有効性が示されている。胸骨圧迫のみに心肺蘇生法を単純化することによって、短時間の教育でも一般人が心肺蘇生法とAED の使い方を習得できることが示されている。中でも、AED が使用可能な状況下では、胸骨圧迫の実施と、AED を用いた早期電気ショックが効果的であることは明確に実証されており、全ての国民が、少なくとも胸骨圧迫とAED の使用を実践できるように、さらなる心肺蘇生法の教育・普及が求められている。

胸骨圧迫とAED の操作にポイントを絞り、短時間で学ぶことのできる入門講習も積極的に活用し、少なくとも胸骨圧迫とAED の操作が実践可能な人々を増加させ、設置が広がりつつあるAEDを有効に活用することのできる社会を築き上げる必要がある。なお、短時間でもビデオなどでAED の使い方を学ぶことで、正確にAED の操作習得することができると報告されている。実際は講習会を受講していなくてもAED を使えることも報告されており、訓練をうけたことのない救助者についても、いざという場合のAED の使用は制限されるべきではない。しかし、質の高い救命処置を行うためにAED を用いた救命処置訓練が行われることが望ましいと考える。そのためには教室での講習だけでなく、施設内で救命訓練を行うことも重要である。施設内の様々な場所で心停止が発生した場合を想定し、誰がどのように動き、119 番通報、AED 運搬などにあたるかをシミュレーション体験してみることも役に立つ。

(3)相互扶助によるAED のさらなる活用

近年、普及の著しい携帯電話等を通じたソーシャルネットワークシステムを活用してAED を配置するだけではなく救急事態に対応できる一般人を登録し、いざという時にAED を届けて救命処置を期待するというシステムが提唱されている。わが国のような人口密度の高い地域の多い国では、コンビニ店舗や交番等のAED 配置は、住民の自宅での突然の心停止に対しても有効性が期待できるという報告もある。

(解説)様々な場所でボランティア登録で救助の連携のテストが行われております。相互公助の社会構築が実現する時代になる日も近いかも知れません。AEDの有効配置、教育訓練、相互公助社会と今後進化していくと考えます。

7.設置されるAED の機能に関する注意

非医療従事者によるAED の使用が認められて以来、AED の機能にも、さまざまな改良が加えられてきた。未就学児に対する対応はその一つであり、乳幼児のためのパッドやキーを配置しているAEDも増加している。しかし、実際の使用にあたっては、傷病者が未就学児であるかどうかの確認よりも、AED の装着を急ぐべきである。また、現場で成人用の装備しかない場合であっても、早期電気ショックをためらってはいけない。

(解説)未就学児が多く集まるような環境にある場合には、小児と成人の切り替えが簡単にできる機種の選定が必要です。いざという時に、周りにない場合には成人モードで使用する必要があります。

AED は、どのような機種であっても、操作しやすい機器であり、電源を入れると音声ガイドにより操作を指示してくれる。しかし、音声ガイドだけでは現実には、電気ショックを完遂できないケースがある。音声ガイドの言語に対する配慮とともに、音声だけでなく視覚によるガイド機能のますますの充実が求められる。これは、障がい者や外国人にとっても、重要な機能である。

(解説)最近では、数社のAEDでイラストによる操作ガイドの機能を有したAEDが発売されております。一般市民が使用するAEDとしては、この様な機能はいざという時に役立つ機能と思います。また、最近ではバイリンガルのAEDも販売されております。外国人が多く集まるような施設では、イラストガイド付きのバイリンガルAEDは大きな役目を果たすと思います。

わが国で認可されているAED は、傷病者の心電図を自動解析して電気ショックの適応を操作者に指示してくれる。しかし、電気ショックボタンは、操作者が周囲の安全を確認の上、押すことが求められる。近年、欧米で電気ショックも自動で与えてくれる機器が普及してきていることは、注視すべきである。

(解説)電気ショックボタンを押すことは後々大きなストレスになることもあり、欧米では救助者が電気ショックのボタンを押さなくても自動で電気ショックをするフルオートAEDが普及してきております。

8.おわりに

我が国では、多数のAED が全国の公共スペースに設置され、AED の普及により多くの成果がもたらされてきた。しかし、単にAED の設置数を増やすだけでは、必ずしも十分な救命率の改善を望めない。効率性を考えた戦略的配置と、管理と教育・訓練など、いざという時にAED が機能するような日頃からの準備をさらに充実させていく必要がある。本ガイドラインが、AED の導入を検討している、あるいは既に設置済みの地方公共団体や民間施設の参考となり、多くの救いうる命が救われることを願う。

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